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家族がふえてもノンキな日々

行ったっきり

 科学の進歩で、人類はますます快適な暮らしを営むようになったかといえば、戦争は終わらないし、AIは人間にとって変わろうとしているし、地球は人間にとっては住みにくい世界になろうとしているとしか思えない。

 SFの世界では、住めなくなった地球を離れ、別の惑星や宇宙ステーションなどに移住するというエピソードが描かれることが多いが、近頃はSFの世界だとは言えなくなっているようで、本気で火星の移住が考えられているからだ。

 宇宙ステーションの滞在やロケットによる宇宙旅行で問題になるのが、地球とは異なる重力で生活することである。重力のかからない環境では、人間の骨はスカスカになる。これが別の惑星での生活となると、重力の強さで体の作りそのものが変わってしまうのは、避けられないことらしい。

 が、一番盲点だったのは、免疫に関してである。

 昔、大航海時代というのがあり、ヨーロッパの人間が地球のあらゆる場所に進出したことで、西洋人が持ち込んだ病原菌に抵抗できる免疫を持たないために、絶滅するという悲劇があちこちで起こった。今では交通手段の発達で、かなりの人間が共通の免疫を持っているだろうが、それでもコロナ禍で分かったのは、やはり民族によって濃淡があるということだった。

 もし将来、人類が火星に移住するということがあったとすれば、そこで生まれ育った人間は、決して地球に戻って来れない。地球上にある病原菌に対する免疫がないからである。つまり、人類は地球を離れたが最後、2度と戻っては来れないのである。科学が進歩して、あらゆる病気を克服する世の中になれば、SFのように気軽に火星と地球を行ったり来たりできるのかもしれないが。